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Forest Symbiosis Theory

Concepts of forest symbiosis housing and forest medicine for foreigners.

ミネルギー・P

 「ミネルギー・P」って?

 建築の省エネルギーの基準は日本でも段階的に厳しくなってきています。この先どこまで厳しくなるのかと言えば、それは環境先進国のヨーロッパ、特にドイツやスイスの動向を見れば予想がつきます。ドイツのパッシブハウス基準のものすごさは日本でも話題になって来ていますがミネルギー・Pはそれのスイス版です。ミニマムエネルギー+パッシブの意味で日本でもこれからこの基準を横目でにらんだニュースタンダードが確立されるのではないかと予想しています。15年ほど前から草の根的に起こってきた日本の高断熱高気密の技術革新が成熟する前に、更なる大きな流ちょうに飲み込まれてしまう予感があります。


関連ページ「木の凄い家本舗」

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  1. 2010/09/06(月) 17:30:50|
  2. 環境効率/資産価値
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ドイツレポート(その1)

 ウッパータル住宅展示場

 ドイツに来ています。環境先進国のドイツの家づくりを肌身で感じるために住宅展示場通いをしています。日本と違ってドイツにはいわゆる住宅展示場は数えるほどしかありません。日本からの視察ツアーはたびたび企画されているようですが、個人でじっくり客を装って通うと親切にいろいろ教えてくれます。それにしても、今回はナビ付きのレンタカーだったので、住所さえ分かればばどこにでも行けるはずだったのに、ウッパータルの住宅展示場の住所情報がインターネットでもなかなか分からず、現地の交番で調べてもらってようやくわかりました。それほど現地の人にも馴染みがないということでしょう。ここに住所を載せておきます。車がないと難しいです。



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ウッパータル住宅展示場:Wuppertal Festighaus Ausstllung
Eichenhofer weg 30



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  1. 2010/09/22(水) 16:03:44|
  2. 出来事雑記
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ドイツレポート(その2)

 ドイツ住宅 VS 日本住宅(ドイツレポートその2)

 ドイツの住宅の断熱レベルの凄さは知っていましたから改めて驚くことはありませんでした。しかし40センチもある分厚い壁の作り出す内部空間の静けさ、なんともいえぬ安堵感と懐の深い温もり感覚は、日本家屋のそれとは決定的に違います。この壁厚は日本の在来軸組みでは不可能です。これがほしければパネル化を考えるほうがやはり合理的なのでしょう。


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<構成や材料は各社で違いますが機能分けされた層状のパネル。これを見ると現場施工か工場生産のどちらを選ぶべきかは明白で選択の余地はありません。手前が外壁側です。>




 高断熱だQ1住宅だと騒いでいてもドイツに比べるとまだまだ紙のような薄っぺらなのが日本の家なのです。これは細い柱の軸組みに縛られているためです。でもそれが日本の住宅建築に引き継がれている一番強力な伝統ともいえます。
 私の大学院の研究論文は木造住宅の地方性についての実地調査研究でした。建築生産における伝統は気候風土の要因より産業構造の成り行きで決まるというのがその結論でした。つまり日本の建築はそれだけ伝統を断絶しているということを実地調査で明らかにしたわけです。在来工法の柱寸法、連続基礎で床下空間を作る工法、アルミサッシの引き違い開口部などのおかしな工法は日本の風土が導き出した結論では全くありません。だからこそ建築熱環境の先進国として成り行きに流されず導き出したドイツ工法と日本の在来工法の性能差がここまで大きく広がってしまったのです。



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<内壁下地は木質繊維パネルでその下に気密シートでラミネートされたプラスターボードが張ってありました。構成レイヤーの役割や材料情報が分かりやすく入手できます>




 壁の性能を突き詰めるとパネル化生産するのが圧倒的に有利です。ドイツの新築住宅もほとんどがパネル式です。そうだとしたら軸組み現場施工を選択した我々はどうすればよいのでしょうか?


 ここで建築熱力学先進国のドイツが軸組みを解釈すると凄い物を作ってしまうという例をひとつ。建築熱環境を極めると日本より寒いドイツでここまで出来てしまう。日本でも集成材の重量木構造の家が人気を集めていますが、ここまでやれる自信はなかなかありません。


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<ドイツでも人気の木とガラスの家。建築熱環境学に卓越しているからこそ出来るドイツ和風?>


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<なんという開けっぴろげ感。柱の間はトリプルガラスのフィックスの壁。軸は集成材ラーメン構造>


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<室内側のスクリーンで断熱とプライバシーを確保>



 日頃伝統の進化などとえらそうなことを言っているならこのくらいのことが出来なければいけませんね。完全にドイツにお株を奪われた感じです。


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<外部にもちゃんと遮熱、遮光スクリーンが仕込んであります>



 もしドイツの住宅展示場に日本のメーカー住宅が展示されていたら?ついそんなことを考えてしまいます。おそらくドイツ人の目には、日本の今の新築住宅は見栄えだけは良いプレハブ倉庫のように映り誰も見向きもしないでしょう。このままでは「ドイツVS日本」完全に日本の負けです。

 日本住宅の独特の薄さと軽さは伝統の軸組みの柱寸法に由来するものです。それを日本の伝統と見なそうと開き直れるかどうかが勝負の分かれ道だと思います。なぜならその軸組の存在そのものに価値を付加させる道があるからです。繊細な生物としての木、生命素材として人と太陽と大地と共存する生命体としての木。木そのものの価値を写し取って表現する建築。そのことで建築からあの味気ない工業生産の匂いは消えて人間的建築になります。住宅にはこの生物的要素が必要なのです。これが出来れば世界に誇れる繊細な和風の表現としてドイツだけでなく世界でも受けいれられるに違いないと思うのです。

 日本住宅は成り行きとは言え微かに残ってきた細い柱の真壁の伝統にこだわってほしい。そうしないとせっかく1000年も積み上げてきた貴重な文化遺産たる職人技術の体系も消えてしまいます。
 大きく分厚いパネルをクレーンで持ち上げどんどん建て込まれてゆくドイツの住宅建設の光景を見ながらそんなことを考えていました。



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  1. 2010/09/26(日) 16:12:13|
  2. 生命素材主義
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プロフィール

Toshiya Ochiai

Author:Toshiya Ochiai
落合俊也(おちあい としや)
Toshiya Ochiai

建築家/ 森林・環境建築研究所 代表
Forest Baubiologie Studio Inc.


森林・環境建築研究所 Web Site

[Forest Baubiologie Studio]
http://www.fb-studio.jp/

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