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Forest Symbiosis Theory

Concepts of forest symbiosis housing and forest medicine for foreigners.

月的建築術(その13)

 素人の手仕事の味 vs プロの仕事

 現代の家は複合商品として材料、開発、運搬、営業といろいろな経済活動要素が絡み、クライアントの金は社会に広くばら撒かれる結果になっています。本来職人がするべき仕事と取るべき賃金が、周りからハイエナのようにむしり取られ、職人の取り分はほんのわずかなのです。もっともこの程度に職人仕事自体がが先細りしてしまっているのだから、職人に大枚をはたく理由もないのです。

 だから最近素人仕事が台頭してきています。素人仕事を「手のぬくもり」と称している施主参加型の工事現場をよく見かけます。左官材料だって素人で塗れるのを売り物にしているものがたくさんあります。とりあえず自然素材を使って手作業すれば、工業建材よりはずっと味がでます。だから、それ自体は悪くはない風潮ということにしておきましょう。

 しかし、素人技術は文化にはならないという点に注意しなければなりません。

 一方の職人技能は積み上げられた工夫や改良が継承された知恵の文化です。DIYに及ばない人間の知恵の文化的な結晶の表現なのです。自然の恵である素材を知恵と歴史的に積み上げられた文化の力で料理するのだから、素人の風味で料理されるのとはまったく違うものになります。
 この違いは言ってみればバナキュラーな親身性と人間技能の神聖さの違いだと思います。

 職人の仕事には神が宿っているんですね。




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  1. 2008/05/08(木) 11:26:13|
  2. ムーンハウジング/月的寓居
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月的建築術(その14)

 未来の間戸(まど)革命①

 住宅にはたくさんの窓がついています。光や風を入れるための開口部、あるいは出入りや眺望のための窓。それぞれの機能を考えるとたくさんの窓が必要になりますね。
 一日の中で、あるいは季節の中でダイナミックに時には繊細に移り行く外界の自然を取り入れたり遮断したり。その複雑な機能を要求されている割には、あまりにもシンプルで単純機能しか持ち合わせていない開口部サッシは気に掛かります。
 サッシメーカーの都合とマーケットの戦略にすっかりはめられて、まったく不自由な開口部を巡る家作りの現場なのです。

 開口部のカタログチョイスを止めて自分で考え作るようにすると、あっと驚く可能性が開けてきます。
日本の伝統的な柱建ての建築は、その柱の間に建具をはめ込んでいました。建具を取り払うと見事に柱だけの開放的な空間になります。開けるとすっきり柱だけになって建具は消え去ってしまう。これが出来たら「超気持ちいい!」に違いないですよね。

 開けることは建物を開放すること。窓を開けるのでなく建物を開ける。開口部のカタログチョイスをやめると、たとえばこんなことが出来ちゃうんですね。







<大開口脱着間戸-月舞台のドルフィンウィンドー>




  1. 2008/05/12(月) 14:19:00|
  2. 環境効率/資産価値
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月的建築術(その15)

 未来の間戸(まど)革命②

 地球環境を視座において低炭素な家作りを考えるとき、電気エネルギーの塊といわれるアルミを使った窓はかなり問題だと思います。アルミは熱伝導率も大きいし開口部を作る材料としては決して優れているわけではありません。ただその加工性のよさや軽い割に強度がある特性が大量生産・大量普及には都合がよかったのでしょう。近代社会はすべてが利益追求第一主義。企業の都合に合わせて生活しているお馬鹿な現代人なのです。

 でも、これだけエコが叫ばれる中で未だに利益追求の資本者側の都合に合わせた製品しか使えない状況もおかしいですよね。ヨーロッパでは住宅の窓は木製が主流の国が多いし、どう考えてもエコロジーの観点からはアルミはいただけない。
 誤解している人も多いのですが、気密性能、防火性、能耐久性能を含めて木サッシがアルミに劣ることは何一つありません。むしろ優れているほどです。

 大切なことはまず開口部は木で作るという方針を決めることです。その上で木の不足している物性を向上させるのに技術や工夫がなされるべきです。
 たとえば木サッシの木部の外部耐久性を向上させるためにガラスを被せてしまったスケルトンサッシなどは目からウロコのデザインです。まさにあっぱれ!!

 私たちは木を使うという前提から生まれた工夫やデザインをもっと追求しなければなりません。







<木枠をガラスが覆い隠している木サッシ-スケルトンウィンドー>




  1. 2008/05/14(水) 10:22:52|
  2. 環境効率/資産価値
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月的建築術(その16)

 未来の間戸(まど)革命③

 窓が沢山あるのが現代住宅の特徴です。部屋が細かく分かれているのだから窓も当然分散するのです。
 「建物を開く」という発想をすると開口部の数を絞って大きく開く間戸を考える事になります。住居内もそれに伴って開放的になり光や風のめぐる構成に変えることができます。

 月を室内に取り込みたいと思ったら窓からでは物足りないですよね。建物そのものを開く間戸でなければ。建物を開けることで初めて太陽と月と繋がる一体感が生まれるのです。

 でも建物を開けるってすごく難しいです。なぜって建物を開いちゃうと雨、風、虫、光、熱のコントロールが大変でしょう。今はそれを窓サッシというプロダクトに頼り切っているから考えないでも済んでいるのです。


 あまり話題にされないトピックとして虫の進入防止について取り上げてみましょう。サッシの場合は網戸が一体についているから問題は解決してしまいますが。
 建物を大きく間戸で開放すると、夜になると虫たちが光に寄せられて入ってきてしまいます。こうなると著しく居住環境が損なわれます。蚊なんて一匹いただけでも気になりますよね。でも虫の侵入を防ぐのはある程度以上開口が大きくなると結構難しいのです。

 伝統日本家屋の柱立ちの縁側の写真は開放的で気持ちよさげですけど、あれは昼間だけの話です。室内より外が明るい時間だけ成り立つ形式です。夕方以降は全開放なんかしておけません。
 今は室内を照明でコウコウとさせますから多くの虫が誘き寄せられてきます。最初から色々な工夫や対策が不可欠です。虫の侵入防止対策がうまく機能しないと、せっかくの大開口も夜には開放できない無用間戸になるから要注意です!


o039_convert_20080520104611.jpg

<防虫スクリーンと低誘虫照明で夜間も使える外部デッキに>



  1. 2008/05/20(火) 11:07:06|
  2. ムーンハウジング/月的寓居
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月的建築術(その17)

 節(ふし)の中の宇宙

 日本の木造建築は何故か柱の綺麗さを気にしますよね。無節とか上小節とかでグレード分けします。
 建築で使う木の節を気にしだしたのは室町時代からだといわれています。茶道の世界で節がないのが珍しく尊ばれたのがきっかけらしい。それ以前は節はそのままで使っていたから耐用年数もずっと長かったのです。

 法隆寺の宮大工西岡棟梁がかつて言っていました。
「木にとって節は命の源。地面の命を吸い上げる根を切り離すのだから、天からもらう命の枝だけは残さねば木でなくなる。節は人間でいうとへその緒だ」
 へそがなければ人間でない。しからば節がなければ木とはいえないでしょう。

 節のその先にかつては枝葉がついていたのです。太陽や月からのエネルギーを光合成によって取り入れる道の痕跡に他ならない。だから私たちは節を見て太陽や月に思いをはせる事ができるのです。木は節を通じて太陽と月と繫がっていたんだと。なんという世界観の広がりでしょう。

 そういえば板目に偏在する節は銀河宇宙の様子に似ていますね。銀河宇宙が化石のように固定化して木の中に閉じ込められている。まさにホログラフィックパラダイムの世界。


 そう考えると節なしの木なんて気持ち悪くて使えなくなりませんか?



 
  1. 2008/05/26(月) 13:52:24|
  2. 生命素材主義
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プロフィール

Toshiya Ochiai

Author:Toshiya Ochiai
落合俊也(おちあい としや)
Toshiya Ochiai

建築家/ 森林・環境建築研究所 代表
Forest Baubiologie Studio Inc.


森林・環境建築研究所 Web Site

[Forest Baubiologie Studio]
http://www.fb-studio.jp/

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